父の夢
思春期の時はよくぶつかったものの、大人になってからは父とは気の合う友人のようでした。
私自身子供の頃から虚弱体質で、何かと父の大きな愛に包まれて今まで生き延びてきたと言っても過言ではありませんが、それほど父は私の人生に大きな影響を与えている存在です。
その尊敬する父の夢は行き場のない、または身寄りのない年配の患者さんを受け入れる養老院を作ることでした。父は齢50にして医師国家試験に通り常々、勤務していた病院でそういった年配者を見て心を痛めていたのです。
家族は皆、父の養老院計画のプランニングをほぼ毎日聞かせられていました。
当然私は影響を大きく受けました。自分も何らかの形でその養老院に貢献したいなと漠然と感じていたのです。
ターニングポイントとなったドキュメンタリー
ある日テレビのドキュメンタリーを何気なく見ていた時のことです。スウェーデンから来たあるアロマセラピストの女性がアロマが感情に働きかけ、認知症を患っている人の孤独な心の内に良い影響を与え心を癒すという話をしていました。
そして彼女は認知症を患って表情をなくしてしまったという一人の年配の女性に会い、優しい声をかけながら、彼女の手を取りアロマオイルで優しくハンドマッサージを始めました。
しばらくするとその年配の女性の目から涙が、そして笑顔になり、ただ発する言葉は『ありがとう』何度もその言葉を伝えて深くお辞儀をしていたんです。傍についておられた娘さん(お嫁さんかもしれないが)『こんな母は認知症になってから初めて見た』と驚きを隠せないで共に泣いておられました。
私は一連のこの流れを見て感動してもらい泣きをしつつ、アロマってすごいなーと初めてアロマについて知り、自分もこれについて学びアロマセラピストになれないかと、真剣に考えるきっかけとなるドキュメンタリーとなりました。
タクティールについて
このスウェーデンのハンドセラピーはタクティールタッチといって、手で触れることによって触感覚組織を刺激し、その結果さまざまな効果を生み出し、それを療法的に使っていく手法でスウェーデンで1960年から開発されたものでした。
私はこれを学ぶために父を説得し本気でスウェーデンに留学しようとしましたが、何せ言語の壁があり、しかも体力もあまりある方ではなかったため諦めました。これに賭けるほどはまだ時は満ちてはいなかったのです。
第二の目標
当時、私はまだ虚弱で、人間不信で、対面恐怖症と闘っていました。幼少時に受けたいじめがトラウマとなっていたためです。自分のこの不甲斐なさから脱却するためには何か死にそうなほどインパクトのあることをしなければ変わることが出来ない!そう思って長年の夢だった英語圏に住んで英語を学ぶことを決意しました。
日本で英語を学びたかったのですが、当時英語を学ぶためにはかなりの費用が必要だったので、そのお金を日本に住みながら使うよりも海外に住んで使う方が、より効果的との父の後押しもありオーストラリアにワーキングホリデーに行くことにしました。
(余談ではありますが親からの援助は一切なく、自分には行って住むだけの貯金もありませんでした。さてどうやって費用を捻出したかというと・・私が生まれる時祖母が母に、ひな壇が良いか株が良いかと聞いたそうです。母は株をお願いしていて、それがワーキングホリデーに必要な費用ほどに上がっていたのです。賢い選択をした母と、祖母に感謝です。)
ここでもアロマについて学べるチャンスがあったんです。専門学校みたいなものがありそこで色んな種類のセラピスト養成クラスがありましたが入学金が予算で賄えない事があったり、入学案内書のパンフレットさえ理解するのが難しかったこともあり断念しました。
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